嘘婚―ウソコン―

陽平に隠し事は通用しないようだ。

そばにいて見ている訳じゃないのに、陽平にはお見通しらしい。

本当に陽平は訳がわからない。

「周さん」

千広は呼んだ。

「何だ?

まだ何かあるのか?」

陽平が聞く。

千広は首を横に振って、
「ありがとうございます」

お礼を言った。

「えっ?」

陽平が首を傾げたのが、電話越しにわかった。

「何でお礼?

俺、ヒロにお礼されるようなことをしたか?」

陽平が戸惑っている。

珍しい。

千広は笑いがでそうになった。

「いや、そう言う訳じゃないですけど、ありがとうございます」

千広は陽平にお礼を言った。

「まあ、いいや。

じゃあ、荷物頼んだよ。

おやすみ」

「おやすみなさい」

千広は電話を切った。

ディスプレイに表示された時計を見ると、すでに0時を過ぎていた。