嘘婚―ウソコン―

陽平の右腕として働くなら、彼のことを侮辱した2人に対し何か言い返すのが当たり前だと思う。

だけど、自分はそれができなかった。

悔しい。

情けない。

千広は膝を抱えて、そこに顔を埋めた。


いつの間にか、寝てしまったらしい。

携帯電話の着信音で、千広は目を覚ました。

視線を向けると、カバンから携帯電話が飛び出していた。

チカチカとディスプレイが点滅している。

千広はディスプレイに表示されている相手を確認することなく、携帯電話を耳に当てた。

「もしもし?」

「ヒロか?」

電話越しから聞こえたその声に、千広の心臓が大きく鳴った。

「えっ?

周さん?」

陽平が電話?

おかしいことじゃないけど、千広は戸惑った。