嘘婚―ウソコン―

カンカンと音を鳴らしながらサビだらけのアパートの階段をのぼった。

バタン!

ドアが壊れるかと思うくらい、千広は強くドアを閉めた。

ボスン!

荷物の入ったカバンを壁に向かって投げた。

隣は…いたようないないような。

千広は床のうえに座った。

あんなの、才能のないヤツらの妬みだ!

陽平の活躍をひがんでいるだけだ!

怒りで頭がいっぱいの自分に言い聞かせる。

だけど…千広は悔しかった。

陽平を悪く言われたこと。

それに対し、2人に何も言い返すことができなかった自分のこと。

言い返すことができなかったから、わざと大きな音を立てて椅子を引いて自分の存在を大きく見せつけた。

今思うと、すごく大人気がない。