嘘婚―ウソコン―

千広は小田切を事務所にあげた。

「キレイな事務所ね」

小田切は呟くようにそう言うと、周りを見回した。

「周さんが、いないから…」

千広は椅子を引くと、
「どうぞ」

小田切に座るようにうながした。

「あら、いいのかしら?」

確認するように言った小田切に、千広はうなずく。

「どうもありがとう」

小田切は微笑むと、椅子に腰を下ろした。

「今…飲み物を持ってきます…」

キッチンに行こうとした千広を、
「ああ、いいのよ」

小田切は止めた。

「えっ…」

いいのよって…いらないって、こと?

千広は戸惑った。