嘘婚―ウソコン―

逃げるようにトイレに入ると、千広は携帯電話を開いた。

陽平からのメールがきていた。

携帯電話を操作して、きたばかりのメールを開く。

『元気か?

もう、新学期が始まったか?

夏休み明けだからつらいかも知れないけど、早く生活に慣れるようにな』

開いたばかりのメールから陽平の声が聞こえた。

キョロキョロと首を動かして周りを見る千広だったが、当然そこには陽平はいない。

「メールするくらいなら電話してくれた方がずっとありがたかった」

千広は息を吐くと、携帯電話を胸に押しつけた。

何しろ、陽平の声が聞こえたんだから。

「あたし…耳鼻科言った方がいいのかしら…?」

そう呟いた千広だったが、頭の中は陽平に送るメールの返事を考えていた。