嘘婚―ウソコン―

千広は動かない首を無理やり動かし、縦に振った。

コッ…クン…

今の動作に効果音をつけるとするなら、まさにこれだろう。

今の自分を例えるとするなら、サビついた古いブリキの人形が正解だろう。

「――バイト…です…」

動かない唇を無理やり動かし、音を発した。

「バイト…。

そうか、学生か」

友美は納得したようにうなずいた。

「陽平から何か聞いてる?」

ドクンと、自分の心臓が大きく脈打った。

千広は気持ちを落ち着かせる。

「昔…」

「昔?」

「昔…お世話になった人だと言うことは、聞いています…」

千広の言葉に、
「お世話になった人…まあ、間違いじゃないわね」

友美は呟くように言った。