嘘婚―ウソコン―

友美につられるように入ったところは、喫茶店だった。

喫茶店の中は砂漠のように暑い外とは反対に、冷房がよく効いていて寒いくらいだった。

友美はアイスコーヒー、千広はオレンジジュースを頼んだ。

彼女が頼んだアイスコーヒーにはガムシロップもミルクも入っていない。

友美はブラックのアイスコーヒーをストローで1口すすった。

千広はオレンジジュースを口にすることができなかった。

さっきまで暑い場所にいたから、喉はよく渇いている。

なのに、口にすることができない。

「緊張してるの?」

友美はストローから口を離した。

千広は返すことができない。

それどころか、首を動かすこともできなかった。

「陽平の事務所で働いているのよね?」

黙っている千広に、友美が聞いた。