嘘婚―ウソコン―

「あの時は、ハートもユメも出勤していなかった。

友美――俺は、“モミ”って呼んでた。

モミが俺のそばにいて、飲み過ぎて死にかけていた俺を介抱してくれてた。

“全く、たった1回くらいの失恋で死にかけてるんじゃないわよ”とか何とか言いながらも介抱してくれて。

まあ、確かにそうだよな。

モミの言う通り、1回くらいの失恋で何やってるんだって言う話だよな。

弱いくせに、死にかけになるくらいに酒飲んで、入退院を繰り返して、そのせいで仕事に行けなくて、小田切さんにもハートたちにも迷惑をかけて。

でもさ、俺も若かったんだよ。

今はさ、失恋したらはい次!みたいな感じで行けるかも知れないけど…当時は死にたくなるくらい、すげーショックだったんだ。

バカな話だよな。

1回くらいの失恋で死にかけるなんて」

陽平は息を吐いて、目を開けた。

千広は黙って陽平の話を聞いていた。