嘘婚―ウソコン―

初めて会った時、お互い知らなかった。

次に会ってしゃべった時、千広は思った。

感じが悪い。

絶対に彼を好きにならない。

なりたくない、と。

だけど自分はいつの間にか、自分でも知らない間に陽平にひかれて、陽平に恋をしていた。

本当に不思議だ。

「あたし…いつから周さんにひかれていたのかな?」

千広は呟いた。

1人暮らしのこの部屋で千広の呟きに答えてくれる人はいない。

千広は軽く背を伸ばした後、腰をあげた。

そろそろ、お風呂が沸いたことだろう。

そう思いながら千広はバスルームに向かった。