嘘婚―ウソコン―

「これくらい、許されるよね…」

自分が陽平にする、最初で最後の抵抗。

我ながら小さいなと、千広は自嘲気味に笑った。

どうせ抵抗するなら、大きいことをすればいいのに。

だけど、あまり大きなことをして陽平に嫌われるのはごめんだ。

最初は、怒った。

勝手に戸籍を盗まれて、妻にされたことに怒った。

陽平の飄々として、つかみどころがない雰囲気にイライラした。

でも自分がバイト先をクビになることを言った時、陽平は自分の事務所で働くことを勧めてくれた。

行ったこともないキャバクラに連れて行かれて、彼の婚約者に会って、彼の秘密を知って…陽平を中心に勝手に動き回る世界に、戸惑うこともあった。

戸惑いながらも、自分はいつの間にか陽平に恋をしていた。

不思議だ。