千広がサンドイッチを口に入れた時、
「昨日は大変だっただろ?」

陽平が言った。

「…そうですね。

周さん、酔っ払うとあんな風になるんですね」

皮肉混じりに返事をしたら、
「ハハ、ひどいなあ」

陽平は困ったように笑った。

「正直、キャバクラに連れてかれて困りましたよ。

周さん、ずーっとキャバ嬢の方とお話しているんですもの」

続けて皮肉混じりに返事をした。

「んー、それはすまない」

陽平は缶コーヒーに口をつけた。

千広は紅茶に口をつけて、もう1度自分に言い聞かせた。

どうせ気にしたって、何にもならない。

陽平のことなんて、自分は知らなくてもいい。

相手は紙のうえの形だけの夫なのだから。