千広は陽平を引きずって、中に足を踏み入れた。

電気をつけると、大量のダンボールと白いソファーが視界に入った。

ダンボールがまだ開いてないのは、まだ荷物の整理をしていないからだろう。

「意外と広いんだ…」

中を見回した後、千広は呟いた。

事務所と言うくらいだから小さいものだと想像していたけど、違っていた。

むしろ広くて…少なくとも、自分が1人で住んでいるところの何倍かはある。

まだ荷物が置いていないから広いのかも知れないが。

千広は陽平をソファーに寝かせた。

「全く、足があるでしょうが」

寝ている陽平に言っても、当人は聞いていないから意味がない。

気持ちよさそうに寝ているその顔に、千広は呆れた。