しかも、腕の骨1本くらいへし折っていいって…。

美人な外見には似合わないと思った。

何より、言葉と外見のバランスがなっていない。

(元ヤンなのかしら…?)

だとしたら、今後はハートを怒らせないように気をつけなければ…と、千広は思った。

「じゃ、おやすみなさい」

ユメが手を振った。

「タクシー代は陽平の財布から抜き取ればいいから。

財布はズボンの右ポケットね」

ハートが丁寧に財布の場所を教えてくれた。

「はい、ありがとうございます」

千広は2人にお礼を言うと、タクシーに乗った。

タクシーが発車した。

だんだんと小さくなる2人を見送った後、千広は陽平に視線を向けた。

「…寝てるし」

千広の呟いた。