(右腕って…)

その紹介の仕方はどうなのだろうかと、千広は思った。

今さっき歩道橋の上で採用試験をしたばかりである。

だけど、まだ妻と紹介されなかっただけでもまだマシな方かも知れない。

「右腕?」

ユメが珍しそうに言った。

「言ったじゃん、8月の終わりに俺の事務所がオープンするって。

彼女はそれで雇ったんだ、俺の右腕候補として」

自慢げに言った陽平に、
「へえ、彼女が」

ユメが上から下に視線を動かして千広を見つめてきた。

マジマジと物珍しそうに見つめられたものだから、千広は困った。

「とりあえずさ、さっさと席を用意してくんね?

久々にユメにも会ったことだし」

陽平が言った。

「わかったわ」

ユメが首を縦に振ってうなずいた。