千広はヒョコヒョコと彼の後を追いながら周りに視線を向けた。

高そうなシャンデリアに赤いじゅうたん、階段の手すりは金色である。

めまぐるしく動き回っている黒服のボーイは手なれたようにフルーツの盛りあわせを運んでいる。

おそらくウン万円はするだろうと言うくらいの高そうなドレスを身につけた彼女たちは、なれたように接客をしていた。

頭だけで何万円なんだろう?

1万円で済まされる訳がないなと、千広は思った。

「陽平さん、お久しぶりですわ」

その声に視線を向ければ、黒いドレスがよく似合う女性だった。

「うわー…」

千広は口をあんぐりとさせた。