「次の満月まで、お前がちゃんと俺の妻でいてくれたら考える」

月を指差して、陽平が言った。

「は、はあ?」

訳がわからなくて、口からマヌケな声が出てきた。

次の満月?

妻?

どう言うことなんだ?

と言うか、何が言いたいんだ?

話が何だかややこしい方向へ進んでしまったと、千広は感じた。

「返事は?」

陽平に言われる。

有無を言わさない圧迫感を、千広は肌で感じた。

「――本当に、離婚してくれるんでしょうね?」

返事をする前に確認をした。

「考えるって言ってるじゃん」

フフッと笑った陽平に、
「――わかりました」

千広は答えた。

「あなたを、待ちます」

映画のようなキザなセリフを吐いた自分に、千広は笑いたくなった。