──村田 朔矢side

総司の奴、また部活サボりやがった。この頃ずっとそうだ。
夜桜を見に行った時からだ。

俺は部活の帰り、そんな事を思いながら帰っていた。
ふと前を見ると紅色をした女が歩いて来た。
少しずれて歩き、すれ違った時…
──…チャリン
何かが落ちた。
下を見ると折りたたみ型携帯だ。
真っ白で右下の方に中心の下へと流れるように3本の黒ラインが引いてある。
俺のではなく、多分さっきすれ違った女のだろうと思い振り返る。

女はあまり遠くにへと行ってなかった為、声を出して呼ぶ。
「おーい!」
女は少し振り返る。
俺は女の方へと走り出して携帯を渡す。
「これ、落としてったぞ」
「…!あぁ悪ィ」
携帯をズボンのポケットへとしまい行ってしまう。

「…無愛想」

女には聞こえないように小さく呟いた。
聞こえていたら失礼だからな