パパがいて、ママがいて。


あたたかい家庭でくつろげるのが当然と、あたしは思っていたけど。


それは、当然のことじゃない。


感謝しなきゃいけないことなんだね。


健ちゃんが言ってた。


『幸せな恋をすることも難しいけど、家族が幸せに暮らすことは、もっと難しいな』


本当…だね。


でも、健ちゃんの心が――…


最後は、お母さんへの愛で満たされて、本当によかった。


ホっとした表情のあたしを見て、健ちゃんのお母さんの頬に涙が伝う。


「私は健を傷つけるだけで、何もしてやれなかった…。
それなのに――…」