手術室に入る前、健ちゃんが、言ってた。


『俺にも…
天使のキスが…
…降った…から』


『俺の…
心の中に…
――だけど…ね?』


それは――…。


とっさに、自分よりお母さんを守ったことを意味してたんだね。



健ちゃんが言ってた“天使のキス”って、きっと――…


“愛”…のこと。



あんなに憎んでたお母さんなのに、自分の命をかけても守るなんて。


――本当は、大好きだったんだね。