健ちゃんのお母さんは、健ちゃんを置いて家を出た日から、たくさんの人とつきあい、そして、何度も結婚したらしい。


でも、最終的には、全ての人に捨てられた。


「してきたことの報いね…」


健ちゃんのお母さんは、寂しげに笑った。


「健に助けてもらえるような母親じゃないの。
私は…」


健ちゃんのお母さんが階段から身を乗り出したとき、健ちゃんが腕を掴んで、それを止めた。


健ちゃんのお母さんは、突然の健ちゃんの登場にびっくりし、よろめいた。


そんなお母さんをかばうように引っ張り――…


そのはずみで、健ちゃんは落下したらしい。