天使のキス。

「健ちゃんっ…
…っく…
…っ…」


「あぁ、もう。
愛里。
泣くな。
もう、泣くな」


人の目には映らなくても、あたしには、確かに健ちゃんの姿が見えた。


「健ちゃん…
会いたかったよ…」


あたしが鼻をすすりあげると、健ちゃんはちょっと笑った。


「んなことより。
愛里、小説は?」


「…?」


「あー、もう、忘れてる!」


健ちゃんは、あたしのおでこをつついた。


「俺、愛里に頼んだだろ?」


「…」