天使のキス。

痛みを感じ、また現実の世界に戻ってきた嫌悪感から、あたしは悠から顔をそらした。


もう、どうなってもいい…。


その瞬間――…


「ホント。
何してんだよ?」


呆れたような声が聞こえて――…


ハッと見上げた先に、あたしをのぞきこむ健ちゃんの顔があった。


「ホント。
何してんだよ?」


そう、繰り返し。


健ちゃんは、はぁ―っと、大きなため息をつく。


「愛里。
俺が、ほっとけないような事するなよ。
もう、助けてやれないんだし」


健ちゃんは眉間にしわを寄せて、あたしの頭をそっと撫でた。