天使のキス。

何も考えられず。
何も考える気にはならず。


胸にぽっかりと空いた穴を感じ、ただ、ただ、涙をこぼした。


お葬式で着た喪服代わりの制服まま健ちゃんの家に行き、そこで何日も何週間もそのままで過ごした。


もしかしたらと思って、病院にも行ってみた。


何かの間違いで、健ちゃんは、あのまま入院しているかもしれない。


でも、何度調べてもらっても――…


“佐久間健”


そんな名前の患者さんはいません…と。


受付の人にも、お医者さんにも、看護師さんにも…
伏し目がちで、同じ答えをもらうばかりだった。