天使のキス。

「でも――…
もう、時間切れかも」


あたしに告げる健ちゃんの言葉に、全身の血が逆流するみたいで、とても苦しい。


「ごめん、愛里。
俺の根性…
ちょっと足りなかったかな」


「健ちゃん!?
健ちゃん…
何、言って…」


「でも、さ。
よかった。
こうして、幸せそうな愛里と悠の姿を見られたから」


「…」


「もちろん、俺の願い通り、幸せな――…ね?」


「け…健ちゃん…?」


「あ。
俺、もう、行かないと――…」