「う、そ…。
だって…」


健ちゃんは、ちゃんとそこにいる。


あたしを見て、ちゃんと微笑んでいるんだもん。


でも――…


健ちゃんのその微笑みは、さっきまでと違って、とても悲しそうで…


「健ちゃん!?」


あたしは、健ちゃんに駆け寄って、制服を乱暴に掴んだ。


「ほら。
ちゃんといるじゃん。
あたし、健ちゃんのこと、ちゃんと触れるよ!?
捕まえられるよ!?
ねぇ、そうだよね、健ちゃん。
あたし、今、健ちゃんに触ってるよね?」


「そう、だな」


悲しそうに微笑む健ちゃんを前に、心臓がドキドキして、胸が苦しい。