天使のキス。

会場にも、あたし達が捕らえられている場所にも、水を打ったような静けさが広がり、あたしは震えながら悠を見た。


でも――…


わずかに頬を紅潮させ、目を見開いた悠の見つめる先は、あたしではなく。


画面に映った、悠のパパだった。


みんなが息をのみ、誰一人身動きすらしないその空間を揺り動かしたのは――…


あたしの後ろで聞こえた、拍手の音だった。


急に現れた40代くらいの肉付きのいい紳士と、赤いドレスを着た――…


ずっと前、悠と一緒に歩いていた女の子。


そして――…じいじ?


これって、一体――…!?