天使のキス。

あまりの広さと豪華さに驚いた。


「お…お…
お邪魔します…
…ってか、広――っ!!
しかも、いくつドアがあるの!?」


廊下を歩いて、部屋のドアを開けるたび、感嘆の声をあげていたけど――…


「健ちゃん…
本当にここに住んでるの?」


廊下の途中で、あたしは自分の身体を抱き締めた。


「何、これ。
寒い。
物が…
物が、何にもない」


こんなに広い家なのに、あたしが開けたどの部屋にも、何にも物が置いてなくて。


まるで、誰も住んでいない家のよう。


引越し当日、これから家具を入れるみたいなお家だよ。