天使のキス。

「聞けって…
愛里…」


健ちゃんは、近寄ろうとしないあたしを呼ぶためなのか、担架の上で少し身体を起こした。


もちろん、白衣の人にもユニフォームの人にも取り押さえられる。


それでも、健ちゃんは――…


「…り。
愛里。
こっちに来いって」


あたしを呼び続けた。


ガラガラと動く担架。


あたしの足は動かない。


だって、健ちゃんの手当ての邪魔をしたくないから。


一刻も早く処置をしてほしいから。