天使のキス。

「ま、いいや。
今日の夜にでも、健ちゃんに電話をしよう。
そうしよう。
さぁ、帰るぞっ♪」


そんな友達がいのないことを口走った矢先――…


マンションのエントランスから、健ちゃんが出てきた。


ん?
健ちゃん?


マジですか!?


えっ!?
出かけるの!?


すっかり帰る気満々だったあたしは、マンションの前を横切ろうとしていたところだったから、


「…っ、…っ、…っ!!!」


声にならない声で慌てふためき、マンション横の木の根元にダイブした。