天使のキス。

だから、せめて今回は。


あたし、健ちゃんの力になりたい。


そんな決意を胸に秘め、あたしは健ちゃんを尾行した。


地下鉄に乗り、降りて、見知らぬ道を健ちゃんの背中だけを見て歩く。


時折吹く冷たい風に震えながら、5~6分歩いたところで、


健ちゃんは、白い綺麗なマンションに入って行った。


ここが健ちゃんの家なんだ。


それまであたしは、健ちゃんの家がどこにあるのかも知らなかった。


健ちゃんこれからどうするんだろう…。


綺麗なマンションを見上げながら考える。


でも、その前に――…。