その間、ずっと――…
隣で健ちゃんが、あたしの頭を撫でていてくれた。


話をする場所を教室から桜川公園に移して、あたしは悠との事をポツポツ話し始めた。


もちろん、悠の心の傷も全部。


すると、あたしの話を聞いた健ちゃんが、


「そっか。
じゃあ…
悠の事は忘れて、俺とつきあえば?」


冗談めかして明るく言って――…


そのあと、真面目な顔をして、こう続けた。


「あのさ、愛里。
幸せな恋をすることも難しいけど、家族が幸せに暮らすことは、もっと難しいな」


「…うん」


公園のベンチに腰かけるあたし達のもとに、空からふわっと舞い降りる雪は、とても綺麗で、儚くて。


冷たいはずなのに、どこか温かくて。