放課後、沙耶が先に帰ったのを確認してから、健ちゃんはあたしにミルクティーのペットボトルをさしだした。


「愛里。
なんか悩みがあるんだろ?
俺でよければ、聞いてやるよ…」


それは昔から、健ちゃんがあたしにかけてくれていた言葉。


あたしと健ちゃん、2人きりの時間の始まりを告げる言葉。


健ちゃんとは、一緒に付き添って行った沙耶の病院の以来、全くしゃべっていなかった。


ひどい事を言われた沙耶は、もちろん健ちゃんを避けていたし、


あたしも、沙耶にあんな事を言い、悠と別れる発端になった健ちゃんとしゃべる気にはならなかった。


もちろん、健ちゃんだって、ずっとあたし達を避けていたはずなのに――…


それなのに、急にどうしたの?