天使のキス。

沙耶に言ってるのに、沙耶には言っていないような。


ただ、沙耶を軽蔑して、暴言を吐いているだけじゃないような。


あたしの思考回路にはない言葉と思いの数々。


この言葉の数々の根底にある、健ちゃんの本当の思いって――…!?


「…健ちゃん」


あたしがポツリと呟いたときには、もう、病院に健ちゃんの姿はなかった。


タクが健ちゃんを引きずり出した入り口を見つめて、沙耶が言う。


「去年、後悔したから」


「…沙耶」


「だから、あたし…
今回は絶対産みたいの」


「…」