天使のキス。

でも――…


“僕は関与しない”と言った五十嵐くんの言葉を思い出し、あたしはギリっと唇をかんだ。


五十嵐くんの名前を出したところで、この事態が好転するとは思えない。


健ちゃんが沙耶を追い詰めるのを止めてくれるとは思えない。


そのことをわかってるからこそ、沙耶も五十嵐くんの名前を出さないに違いない。


じゃあ、あたしは、どうすればいいかな?


青白い炎に包まれたような健ちゃんを、どうしたら落ち着かせることができるんだろう。


考えても考えても、いい案なんか浮かんでこない。


「健には関係ないじゃん」


ふてくされたような捨てゼリフを吐く沙耶。


その沙耶の二の腕を掴んで、健ちゃんは言った。


「つべこべ言わずに、さっさと殺せ」