天使のキス。

しばらく続いた沈黙の後、沙耶が大きなため息をついた。


「健、気づいてたんだ。
誰も気づいてないと思ったんだけどな」


髪をかきあげながら苦笑する沙耶。


「あのさ、沙耶ちゃん」


健ちゃんは、沙耶の方に上半身を向けた。


「今回もさ、前回みたいにおろせばいいだろ?
何産む気になっちゃってんの?
どう考えても、沙耶ちゃんには――…
子育てなんか、出来るわけないだろ」


エスカレートする健ちゃんの冷たい言葉。


「そんなの、やってみなきゃわからないでしょ」


「わかるよ。
それぐらい」


口を挟むことのできないあたしとタクを置き去りにして、沙耶と健ちゃんの会話がヒートアップする。