天使のキス。

予約の人達の間にいれてもらい、少しの待ち時間で、沙耶は診察を受けれることになった。


沙耶が診察室に入ると、タクは席をはずした。


「ちょ…っ…と…
ご…め…」


言葉も足取りもおぼつかない。


まぁ、無理もない。


タクは今まで全然知らなかったんだから。


あたしと健ちゃんは、制服に注がれる周りの好奇と軽蔑の視線に耐えながら、沙耶の診察が終わるのを待った。


しばらくして、沙耶は診察室から出てきた。


そして、俯いていた顔をあげ、あたしと健ちゃんを交互に見ながら――…


「あたし、産む」


そう、はっきりと口を動かした。