天使のキス。

「うるせぇな。
テンパってなんかいねぇよ」


「あぁ、もう…
仕方ねぇな。
わめくな」


健ちゃんはカバンからノートを出して、何かを書き、それをあたし達に向かって見せた。


そこには――…


“たぶん、妊娠”


そう、デカデカと書かれていた。


タクシーの運転手さんに聞かれないように、尚且つタクに状況を知らせた健ちゃんの配慮のおかげで、タクはようやく口をつぐんだ。


それからのタクシーの中は、それぞれが無言の状態で、ほどなくしてあたし達は病院に着いた。


産婦人科に向かう途中、沙耶を抱えるタクの腕は小刻みに震えていて、タクの動揺を表していた。