天使のキス。

そんなあたしに、口に出せる言葉なんか、ひとつもない。


言い訳なんか、できっこない。


唇をかみ締めて、俯くことしかできないあたしの視界の隅、悠が身体を壁から起こして立ち去るのが見えた。


「悪い…」


震える声で、小さく弱い、謝罪の言葉を残して。


しばらくの間、身動きひとつできなかったあたしに、健ちゃんは言う。


「悠の嫉妬。
ちょっと、酷くね?」


「ん―…」


“だよね”


その言葉をあたしは飲み込んだ。


頭が割れるようにガンガンする。


その夜あたしは、悠の夢を見て、一晩中うなされた。