天使のキス。

おほほほほ…じゃないよ、ママ!


沙耶のことだってあるのに、悠までこんな事になって――っ!


「あら、愛里。
食べないの?
冷めちゃうわよぉ?」


のん気にあたしの朝食を用意するママを無視して、2階に上がる。


悠っ!
ちゃんと出てよ!?


急いでボタンを押したケータイ電話の向こう。


“お客様のおかけになった電話は、電波の届かないところにあるか…”


無常な声が流れるばかりで。


あたしは、昨日『行かねぇ』と。
声を荒げた悠のことを思い出していた。