天使のキス。

悠ってば、どこに行ったのかなぁ?

もったいぶらないで、いつも通り、ソファで英字新聞でも経済新聞でも片っ端から読めばいいのに。


「ねぇ、ママっ。
悠は?」


悠が来てから、悠のいない朝なんて初めてで、あたしは家事に大忙しのママをつかまえて再度聞いた。


だって、早く、悠の顔が見たいんだもん。


それなのに、ママの答えは――…


「はぁぁぁぁああ!?」


あたしが素っ頓狂な声をあげてしまうようなものだった。