天使のキス。

「あんたに気を遣ってもらうようになったら、あたしも終わりね」


沙耶はポツンと毒を吐いた。


「沙耶。
誰の…赤ちゃんなの?」


一瞬の沈黙の後、小さな声が返ってきた。


「瞬」


「瞬って…?
…もしかして――…
五十嵐くん!?
えっ!?
沙耶、五十嵐くんと付き合ってたの?」


驚きのあまり、夜だってのに、ついつい声が大きくなった。


「ま、そんなとこだから、きゃんきゃん大きな声を出さないで」


「大きな声を出さないでって言われても…」


そんなの、無理に決まってるじゃんっ!