天使のキス。

電話の向こうの沙耶は、爆弾発言なのに異常に明るくて、サバサバしていて。


さすが沙耶だな~と、あたしは変なところで感心した。


「え…っと。
それで…。
沙耶どうするの?
…って言っても、あたし達まだ高校1年生だし。
それに、沙耶――…
あ…相手の人は?
誰?
…っていうか、特定できるの?」


沙耶ほど肝の据わっていないあたしは、この非常事態を目の前にして、落ち着くことなんかできなかった。


だから、焦ってしゃべっちゃったけど――…


「愛里。
失礼なこと言わないでよ」


沙耶のご機嫌を損ねてしまった。