天使のキス。

隼人は大物政治家の息子で、いつもオレのそばに寄ってくる、犬っころのような存在。


「――いいよ」


隼人に満面の笑みを向け、イライラした気持ちのままラケットを握る。


「ボクからのサーブでいい?」


そんな隼人の能天気な声にまでもイラついて、オレは隼人のサーブを思いっきり打ち返した。


いつもなら手加減だってしてやるのに。


今日は球速のコントロールも感情のコントロールもうまくできない。