天使のキス。

でも、オレが愛里にキスしなかったのは――…


直前に言った『ほんとは、女とか面倒くさいけど?』そんな理由なんかではなく。



ふわりと香る香水に、『愛里に手を出すなよ?』


そう言った、アイツの顔がよぎったから。


チェッ…


小さく舌打ちするオレの腕からスルリと抜けて、その隙に愛里はオレの部屋から出て行った。


なんだよ。
イライラするな。


女は面倒くさかったはずだろ?
ほっとけばいいだろ?


あんな女に、どうしていちいち心の中をかき乱されなきゃいけないんだ。