天使のキス。

「なんで愛里がここにいるんだよ?
ここ、オレの部屋だろ?」


愛里が容易に部屋から出られないように、ドアを背にして立つと、


「部屋…間違えちゃって」


幼稚園児でも、もっとマシな嘘つくぜ?ってほど、マヌケな言い訳が聞こえてくる。


「へぇ、愛里は。
ずっと住んでる家の自分の部屋を間違えるんだ」


「ん…
…って、いうか、ほら。
ここ、前物置だったでしょ?
探しものしようと思ってさ」


4月の夜は冷えるというのに、鼻の頭にうっすらと汗をかいている。