天使のキス。

『悠、おまえはもっと――…
感情の引き出しを持ったほうがいい』



――いや、そんなもの、オレにはいらない。
心をかき乱されたくないんだ。



オレは源じいの言葉を締め出すように、シャワーの蛇口をきつく閉めた。


風呂から上がって、リビングによることなく部屋に戻って電気をつける。


…ん?


空気が乱れている…というか、わかりやすく愛里の匂いがする。


そう、佐久間健が『俺を思い出せ』と言った、あの香りだ。