天使のキス。

「愛里、おまえ趣味悪いぞ?
将来が心配だ。
タクなんて、ただのおっさんだろ?」


そんなセリフを、タクをチラリと見上げて口にする。


そんな健ちゃんも口が悪いけど――…


「タクはおっさんじゃないもん!
さわり心地のいい、ぬいぐるみだもん!」


そう主張するあたしもあたしだと思う。


そんなあたし達のいつものやりとりを見て、


「高等部に行っても、またこれか…」


大きなため息をついたタクが、


「ほら。
行くぞ?教室。
愛里も沙耶も健も…。
みんな同じ1-Bだろ?」


やれやれといった様子で、先頭にたって歩き出した。


そう、タクはあたし達のまとめ役だったりもするのです。