天使のキス。

「佐久間く―ん♪」


そんな黄色い声が女の子達から沸き起こるくらい、モテモテの人気者くんなんだから。


“まぁね。
優しいしね。
外部受験組だから、頭もいいしね。
色素の薄い髪を器用に遊ばせて。
華やかな雰囲気でいいんだけどね。
でも、なんか――…”


そう思っているあたしの頭に、広げていた手を置いて、


「生意気なやつぅ」


健ちゃんは、あたしの髪をわしゃわしゃ撫でた。