その姿が妖艶に見えて
少し、ドキッとした。
さっきまで棗の胸の辺りをスリスリと自分の頬でしていた行為を停める。
「どうにもならないよ。」
棗の顔を一瞬だけ見てそう言い、棗から顔を反らすようにしてまた、棗の胸に自分の顔を押し付ける。
「はぁ…。これだから天然は困る。本当、意味分かってねぇだろ。」
棗がクシャクシャと自分の頭を掻きむしりながらそう言う。
天然…?
誰が?
「誰の話?」
棗の独り言が気になり、顔を上げて上を見上げるようにして棗を見ると
「ほら…天然だろ…?」
棗の顔が段々と近付いてきた。
…ん?
もしやのこれは…
「危機的状況?」
「稚春が悪いんだよ?」
私がボソッと呟いた後に、棗が間も無く呟いた。
はい?私、何か悪い事した?
「責任…とれよ?」
普段聞かない棗の口調と低い声に気をとられる。
すると棗の手が私の頬に軽く触れた。
…?
「どうしたの?棗。」
棗がやっぱり、いつもと違うような気がして心配になって棗の頬を包み込むように手を添える。
と、ほぼ同時に。

