「何?」




体ごと玲に向き直す。


すると、玲が口角を上げて笑った。




「稚春は今日、初めて俺と学に逢ったと思ってるけど、本当は一回逢ってるよ?ちぃちゃん。


まぁ、今は思い出さなくてもぃぃけどね。」



「え?」



「じゃあ、本当にもう行くね。俺、忙しいから。」




混乱する私を気にせずに玲が窓を閉めた。




「ちょっと!さっきのどーゆう…って、行っちゃった…。」




玲は本当に忙しいのか電話をしながら颯爽と行ってしまった。



吹き込むだけ吹き込んで、言いたい事だけ言って。




私と学と玲は初対面じゃなかった?



…え?私は逢った事ないよ?



何処かで逢ったのか、と頭を捻る。



でも、何も思い出せなくて。




「謎だ…。」




疑問だけが残った。



それに、一番気になるのは玲が司と私しか知らない私のアダ名を知ってる事。



司が教えたのかな?なんて思ったけど、こればっかりは司本人に聞いてみないと分からない。


だから、やっぱり



「考えるのは止めとこう!」



後回しにするしかない。